蛇と蝦


 中国での話だ。ある日、日本語を学ぶ中国人学生から「エビは好きですか。」とたずねられ、「好きですよ。」と答えた。数日後、その学生から、「エビを食べに行きませんか」と誘われ、いっしょにレストランへ行った。学生が料理を注文し、しばらく話をした後で、テーブルに運ばれてきた料理は、何と、「蛇(へび)料理」だった。
 へび(蛇)とエビ(蝦、海老)。「え」と「へ」の違いはもちろん、「へび:高低」「えび:低高」とアクセントも違う。だが、日本語を学習する中国人にとって、この区別は難しいらしい。
 ところで、この「へび」と「エビ」は、中国語で何かというと、「へび」が「蛇(she2)」、「えび」が「虾(xia1)虫偏に下」。この[she2]と[xia1]は、中国語を学ぶ日本人にとっても難しい。中国の深セン市に「蛇口she2 kou2」という港がある。日本語で読むと「蛇口じゃぐち」だが、シンセン市から香港やマカオ、あるいは珠海へといろいろな船が通っていて、とても便利な港だ。私は深セン市に住んでいたとき、ときどきタクシーで蛇口へ行ったことがある。その際、この発音ができなくて苦労したことを覚えている。それで、しばしば使った方法は、紙に「蛇口」と書いて、「到这儿dao4 zhe4 r」と言う方法だった。
 この紙に書いて見せる方法はなかなか便利だ。駅で切符を買うときも、買い物するのに、品物がどこにあるかたずねるときにも重宝する。しかし、この方法には落とし穴がある。外国語を学ぶとき、最も大切なことは「困る体験」「失敗の体験」なのに、それがない。特に発音は現地で困ること、失敗することがとても重要だ。便利な方法は、上達を妨げるようだ。

wildsum について

I am a Japanese language teacher. I like to soccer and cooking,walking.
カテゴリー: エッセイ, 中国語 タグ: パーマリンク

蛇と蝦 への2件のフィードバック

  1. より:

    へび:高低」「えび:低高」とアクセントも違う。 いい勉強になりました。ありがとうございます。

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  2. Chengsheng より:

    うさん、コメントありがとうございました。アクセントは、外国語を学ぶ上で誰にとっても難しいものです。何でも慣れる事が一番大事ですね。昔から「習うより慣れろ」といわれていますよ。

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