春の足音


春の足音

 春の気配がする。寒さはまだまだ続くが、一歩一歩春が近づいている。蕾が少しほころんだかと思うと、まもなく、いくつかの花がぱっと開いている。春爛漫の季節もいい、しかし、この春が徐々に近づいているころの感覚はなおいい。青空にも春らしい雲が漂っている。

 まだ、大人になりきれない少年少女の頃、ほのかな恋を経験し、次第に大人の世界に入ろうとする頃、未熟ながらも、少し個性を帯び始める、十代のころ、隠そうとしても隠せぬ、さまざまなときめきを感じる時代。この季節はそんな時代に似ている。

 以前、桜の木を毎日、眺めながら、3月下旬の時期を過ごしたことがある。今日の蕾はどんな様子か、毎日朝晩眺めて暮らしたことがある。そうして、ついに咲いた瞬間、すべてが終わったような気がした。そして、散りゆく桜を毎日眺めながら、寂しさを覚えつつも、某かの情緒を感じたものだ。

 月は満月ばかりがよいのではない。花も満開ばかりがよいのではない。そのはかない瞬間を待つ間にはさらに何とも言えぬ味わいがあるし、過ぎ去ったころにも表現しがたい趣がある。そういう意味で、私は今の季節が好きだ。

広告

wildsum について

I am a Japanese language teacher. I like to soccer and cooking,walking.
カテゴリー: エッセイ パーマリンク

春の足音 への1件のフィードバック

  1. ピンバック: 東日本大震災から8年! | Take a walk

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Google フォト

Google アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中