団地に咲く花
松下幸之助の著書『道をひらく』に「花のように」という一文がある。これはわたしの生きる指針となる言葉である。以下、全文記す。
「砂漠に見出す清らかな泉は、旅行く人の喜びであり憩いであり、そして励ましである。荒涼たる山野に、毅然として咲き誇る一輪の花は、また旅人へのこよなき慰めとなり励ましとなる。
今の世の中が、荒野のごとく荒れ果て枯れ果てているとは敢えて言わないが、それでも。このむつかしい時代に、人々の心は次第に落着きを失って、索漠たる気配が感ぜられぬこともない。
おたがいに手をつなぎ、助け助けられながら生きねばならぬこの世の中である。人の心が砂漠のごとく荒れ果ててはたまらない。せめてわれわれだけでも、清らかな泉のように、毅然たる一輪の花のように、強く正しく働いてゆこうではないか。
むつかしいことかもしれないが、自分の仕事に誇りを持ち、自分の働きに意義を感じるならば、わが身の処し方もおのずから見いだされてくるであろう。
どんな世の中になっても、あわてず、うろたえず、淡々として社会への奉仕を心がけてゆこう。その姿自体が、人びとにとってすでに大きな励ましとなり、憩いとなるのである。
花のように。泉のように。そこに我々の喜びもある。」