認知症の効用!


朝、母といっしょに、サスペンスドラマを見ていたが、ちょうど半分ぐらい見たところで、仕事に行かなければならない時間になって、「これからの展開、どうなったかを帰ってから教えて!」と母に言って出かけた。ドラマの展開を覚えるのは認知症の予防に効果がありそうだと思って、できるだけ、なんでも覚える努力をさせるようにしている。

毎日、夜、寝る前に、母の好きそうなサスペンスドラマのほとんどを地デジ、BS、ケーブルテレビの中から探して、視聴予約をしている。けっこう大仕事だが、母はテレビをつけっぱなしにして、ぼくが予約したドラマを楽しんで見てくれる。

仕事が終わって、7時頃、帰宅すると、驚いたことに、朝、やっていたドラマをまたやっていた。それもぼくが見ていない後半部分だった。もう一つ驚いたことに、母は今朝見たドラマを覚えていない様子だったことだ。疑問に思わず、見ているのだ。

 母はすでに認知症の入り口に来ている。昨日食べたものはもちろん、今日食べたものも忘れる。一日散歩に出て、帰って来てから、「今日はどこへ行ったか覚えている?」と聞くと、わからないと答える。地図を見せたり、いろいろヒントを出すと思い出す。

 見知っているはずのものや場所について、すべて初めてみたという。そのうち、一人で外出したら、家に帰れなくなるだろう。おそらく、ぼくの顔もわからなくなるだろう。だが、少しでもいいから、症状を遅らせたいと思って、いろいろ策をめぐらせているのだ。

 しかし、面白い発見もある。今朝見たドラマと同じドラマを夕方、新鮮な気持ちで見ていることだ。何度も行った横浜の山下公園さえも、初めて来たと言って喜ぶことだ。料理も同様だ。何度も作った料理を初めて食べたと喜ぶことだ。

 認知症というと、かわいそうで大変なもののようにも思われているが、視点を変えれば、人生が自然にたどる道であり、もしかしたら、忘れることこそ幸福なのではないかと思えてならない。ひとつの楽しみとして、同じものを何度でも新鮮にみられるという喜び、そしてもう一つは過去の苦い経験などを薄れさせるという目的があるのかもしれない。いずれにしても、何か意味があって、人は老いるのだと思えてならない近頃だ。

wildsum について

I am a Japanese language teacher. I like to soccer and cooking,walking.
カテゴリー: パーマリンク

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Google フォト

Google アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中