夢現(ゆめうつつ)


 夜中の2時頃、台所のテーブルの上で、酔って、突っ伏している老母を、ぼくは強く叱った。すると、廊下をよろよろと千鳥足で歩いていき、ばたりと倒れた。「布団に入って!」と言うと、這って自分の部屋へ行き、布団に入った。

 その後、戻って、テーブルの上を見ると、ガラスコップには半分飲み残した焼酎が入っていた。また、飲みに起きてくるのではないかと心配だった。明日は仕事もない。このまま朝まで起きて、母を見張るほかないと思った。

 自分の部屋に戻り、パソコンに向かってYouTubeでサッカーの動画を見ながら、時々、台所の様子をうかがっていた。3時半頃、まぶたが重くなり、布団に入った。

 ぼくは母にゼリーの薬を飲ませるために、薬袋を開けようとしたが、手元が狂って、こぼしてしまった。慌てたが、「覆水盆に返らず」だ。だが、待てよ。母の薬にはゼリー状のものはない。これは夢だ。

 取りあえず、目を覚まそうと思って、布団の横においてあるテレビのリモコンを手に取って、電源ボタンを押した。だが、電源が入らない。立ち上がって、デスクの前のパソコンの電源を入れたが、やはり、入らない。ふと気づいた。ぼくはまだ布団の中だ。これは全部夢だ。

 今度こそ目を覚まして、台所へ行き、水を飲もうと思って、蛇口のレバーを上げるが、水が出ない。テーブルの上を見ると、焼酎の入っていたコップは空になっていた。だが、待てよ。これも夢かもしれない。

 どこからどこまでが夢で、どこからどこまでが現実なのか、よくわからなくなってきた。夢も現もすべてが幻のようで、少々不安になってきた。

wildsum について

I am a Japanese language teacher. I like to soccer and cooking,walking.
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