アイデンティティについて考える時、他との関わりを除外して、考えることなどできない。他との関わりの中でのみアイデンティティは存在する。
幸福とは、他との関わりの中でのみ、あり得るものだ。他を除外して、あるいは他を不幸にして、自分一人だけが幸福を感じることはない。
そして、アイデンティティは過去の栄光や罪も、また、後悔も含めて、今をどう生きているかによって成立する。過去をなかったことにはできない。そして、未来をどう生きるかを考えずには成立しないものだ。
もしも過去を切り捨て、人間関係を断ち切ってしまったら、アイデンティティは崩壊するだろう。だが、その不安感を覚悟して、煩わしいしがらみをできうる限り捨てたいものだ。