騙される人間は暖かい?


 サスペンスドラマを母が見ていて、ぼくは隣で、手と頭を使って、仕事をしながら、耳ではドラマの台詞を聞いていた。ドラマの最後のところで、こんな言葉が耳に入ってきた。

「騙す人間より騙される人間のほうが暖かみがある。」

 主人公の刑事が、悪女に騙された弁護士を慰めていう台詞だ。フッと笑ってしまった。弁護士は、「ぽくは弁護士には向かない」と言ったのに対して、刑事が、「君は暖かい人間だ」と慰めるのだ。甘いな!

 弁護士が騙されたら、仕事にならないだろう。それなのに、騙す詐欺師は冷たい人間で、騙された被害者は暖かい人間だなんて、ちょっと可笑しくて、笑ってしまった。

 というより、詐欺師に騙されることなく、したたかに、詐欺師を逆に騙して警察に協力し、詐欺師を逮捕させたおばあちゃんの話がニュースになると、よくやったと感心する。

 人生経験が少ない人、または、認知能力の衰えた人は騙される可能性は高い。スポーツの試合などで、相手を騙して得点するシーンがあると、騙したほうは試合巧者で、騙されたほうは、経験不足ということになる。

 若い頃、サッカーをしていて、ゴールキーパーの時は、右に飛ぶぞと見せて、左に飛ぶとか、バックスの時は、騙されたふりして、ボールに足を出すとか、いつも、相手を騙すことばかり考えていた。

 もちろん、弱い立場の人を騙すのは、悪いことだ。だが、犯人に騙された弁護士に対して、「騙された人間は暖かい」と言うのは、ちょっとありえないだろう。

 人生はゲームと似ている。だからこそ、おもしろい。プロフェッショナルなら、そのへんのことは分かっていなければならないはずだ。この慰めのことばには笑う他ない。

wildsum について

I am a Japanese language teacher. I like to soccer and cooking,walking.
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