小さな池の亀


 近所のお寺に行くと、古くて小さな池がある。池の中を覗くと、亀がいる。大きな亀もいれば、その後ろにくっついて泳いでいる子亀もいる。亀の親子は一組だけではない。子亀たちは親から離れないように一生懸命泳いでいる。

 ところで、「鶴は千年、亀は万年」と言われるが、さて、こんな小さな池の子亀はこれからどんな亀の生を送るのだろうか。考えてみれば、小さな池から出られない人生なんて、まるで、「井の中の蛙」のような一生ではないかと思われる。

 昔、大志を抱く若者は小さな村を出て、都会で華やかな活躍をした。現代の若者は、小さな国を飛び出して、世界で活躍している。昔と比べて世界は大きくなっている。だが、この小さな池の亀の世界は昔も今も、小さいままだ。

 「五十歩百歩」ということばがある。これは「五十歩逃げた者が、百歩逃げた者を笑うが、どちらも逃げたことに変わりはない」という意味だ。だが、別の意味で使うこともできるだろう。

 「百歩先の世界に飛び出した者が五十歩先の世界に飛び出した者を笑うが、どちらも大した違いはない」という意味だ。より大きな世界を知る者が小さな世界しか知らない者を笑っていけないという教訓として見ると、ぼくはこの子亀を笑えない。

 先頃、大金を払って、宇宙旅行をした人がいる。羨ましいと言えば、羨ましい。だけど、丸い地球の中の小さな場所で、精いっぱい生きている者と、地球の外へ少し飛び出した者とは、無限大の宇宙から見れば、大した違いはない。

wildsum について

I am a Japanese language teacher. I like to soccer and cooking,walking.
カテゴリー: 撮影・散策, 日記 タグ: , , パーマリンク

小さな池の亀 への1件のフィードバック

  1. netdeduessel より:

    無重力状態を経験するのに何千万円だか億円だかは逆に理解できません…

    いいね: 1人

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