ぼくは20歳のころ、何回か自殺を試みた。失敗を繰返し、挙げ句に、親友が一人で首つり自殺をしてしまった。
それから、ぼくは「40歳まで生きよう。その後は、死んでもいい。名誉の死だとか、病死とかできればいい。それができなければ、自殺しかないだろうか。」などと、死についていろいろ考えた。
今になって思う、そうした考え方は間違いだった。人はどんな生き様であれ、生きている限り精いっぱい生きるべきなのだ。その結果、誰が批判しようと構わないのだ。
最近のことだ。同居している母が「わたしは95歳まで生きる」と言った。
ぼくは怒った。「人は自分がどこまで生きるかわからない、生命の限界は自分では決められないんだ。明日かも知れない。十年後かも知れない。その日まで精いっぱい楽しんでいきてほしい!」
ぼくは、親しい人に願う。自分の命を限らないでほしい。命だけではない。すべての可能性を限らないでほしい。
母に対して、強く思う。第二次世界大戦を経験し、子供のころに両親を亡くし、若くして未亡人となった母に願う。
過去を悔いても仕方ない、未来を憂えても意味がない。「今」という瞬間に幸せになろうと思って生きて、できるだけ楽しんで生きて欲しいと願っている。