
トンネルの向こう、明るい道路が見える。
あたりを散歩する人たちがいる。
誰もがわたしと同じように憂鬱な顔をして歩いている。
ふと、わたしは今病気なのかもしれないと思う。
誰かに声をかけたいと思わない。
レジやすれ違う人に軽い挨拶はしても、
本心から話そうとも思わない。
実際、誰かと話し合うことなく、何日が過ぎただろうか。
それでも、寂しいとも思わない。
誰とも会いたいと思わない。
何かのために行列に並んだり、
レストランで美味しいものを食べたり、
イベントに参加したりしたいとも思わない。
あれが欲しい、これが欲しいという気持ちもない。
トンネルの向こうは明るいが、何かを期待してはいない。
穏やかな朝を迎え、のんびりと散歩をして、
一日に二度だけの質素な食事をして、
一日を、ただ、静かに過ごしたいだけだ。