変わり者

　変わり者というのは、性質や言動が普通とは違った人。変人、奇人のことだ。最近のテレビ番組で言えば、「激レアさん連れてきました」という中で紹介される人たちだろうか。山の中で誰とも接せず、数十年過ごした人とかいろいろな人が出てくる。

　レアと言えば、ぼくはこれまで30回近く引っ越しをしてきた。「激レア」ではないが、かなりの根無し草であり、レアに入るほうだろう。引っ越し貧乏という表現があるが、まさにそのとおりだ。持ち家を4度ほど持ったが、みんな売ってしまった。

　それから、一日一食主義を長い間通してきた。最近は病院に通うようになり、もらった薬が一日に食後2回とか3回とかいうので、仕方なしに、2回の軽い食事ときちんとした食事をするようになったこともある。だけど、これが胃にもたれる。先生に頼んで、今は2回になっている。それでも苦痛だ。

　さて、変わり者というと思い出す人間が何人かいる。学校の職員室に入ると、床に誰かがいる。寝袋で学校の職員室で寝ていた同僚だ。新米のぼくを原付バイクの後ろに乗せて酒場に連れて行ってくれた先輩教員。学校の屋根の上で酒を飲んでた先輩。いろいろといる。

　ぼくは彼らを変人とは思っていない。個性溢れる先輩だと思っている。そういう人との出会いが最近はない。何だか、みんな標準化されてしまっているような気がしてならない。変人でいいではないか。自分が人と違うということはうれしいことではないかと思う。

　みんなが好むから自分も好む。みんなが並ぶから自分も並ぶというのがどうにも気に入らない。人と同じというのはそれこそ、おかしなことだ。人と違うのは当たり前のこと。「あなたは変人だ」と言われたらうれしいことだ。ぼくはいつだってそう思っている。