目を覚ますと、外は爽やかな春、
窓の向こうから鳥の囀りが聞こえてくる。
カメラを持って、ベランダに出てみると、
欅の木の周囲を、数羽の鳥が飛び回っている。
ふっと枝に止まったり、ぱっと飛び立ったり、
木の葉の中を、出たり入ったり、
忙しそうに枝を揺らしている。
楽しげに囀りながら、飛び交う鳥たち、
滑空する鳥たちを見て、
飽きることなくしばらく眺めていた。
まるで、幽閉されているような生活のまま、
毎日、窓の外で、咲いては散って行く春の花を眺めて、
時には遠く、朝日に照らされる西の山、
山頂を白く染めた富士山を眺めているうちに、
季節はゆったり過ぎて行く。
淀むこともなく、さらさらと流れるように過ぎていく。
春の日の明るい出会いもなく、
四つの季節はそれぞれ何ら濃厚な挨拶もせず、
さらりと通り過ぎて行く。